オフセット印刷とは?仕組みや工程、オンデマンド印刷との違いを解説
オフセット印刷は本や雑誌、チラシなどを印刷する際に使われる印刷方法のひとつです。仕上がりが美しいことが特徴ですが、すべての印刷物にオフセット印刷が適しているわけではありません。
そこで本記事では、オフセット印刷の概要やオンデマンド印刷との違い、適した印刷物についてわかりやすく紹介します。大量印刷に適しており、仕上がりが美しいオフセット印刷で制作物を作成したい方やご興味ある方は参考にしてください。
当社ではオフセット印刷によるシール作成を提供しています。オフセット印刷による印刷物の制作をご検討されている方は、下記からお気軽にお問い合わせください。
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オフセット印刷とは
オフセット印刷は書籍や雑誌、チラシ、ポスターなど幅広く用いられる印刷方法です。オフセット印刷では「版」を用いるため、大量に印刷しても鮮明な仕上がりを実現できます。
現在でも多くの企業に採用され、広く普及している印刷方法のひとつです。オフセット印刷は、アルミ製の平らな「版」にインキ(油)を塗布します。
このインキをブランケットと呼ばれるゴム製ローラーに転写(OFF)し、最後にブランケットから紙へ印刷(SET)する工程から「オフセット」と呼ばれるようになりました。また、平らな版を使用することから「平版印刷」とも呼ばれています。
オフセット印刷とオンデマンド印刷の違い
印刷方法について調べると「オンデマンド印刷」という言葉を目にした方もいるのではないでしょうか。ここでは、「オフセット印刷」と「オンデマンド印刷」の違いを紹介します。
オフセット印刷とオンデマンド印刷の違いは、印刷に使用する「版」の有無やインクの種類、印刷の仕上がりなどです。オンデマンド印刷は版を使用せず行う印刷方法で、データを入稿した後はすぐに印刷が開始できます。自宅やオフィスにある印刷複合機で用いられる仕組みと同様です。
次に、オフセット印刷とオンデマンド印刷の主な違いをまとめました。
オフセット印刷 | オンデマンド印刷 | |
版 | 必要 | 不要 |
インクの種類 | インキ | トナー・インクジェット |
適正ロット | 最低でも1,000枚以上 | 1,000枚未満(小ロット向け) |
単価 | 小ロットだと高い | 大ロットだと高い |
デザインの変更 | 版代が発生する | 版代が発生しない |
解像度 | 非常に高い | 多少劣る |
対象 | 法人 | お店や個人 |
オフセット印刷は、クオリティを重視・1,000枚以上の印刷に適しています。
一方オンデマンド印刷では、少量の印刷やデザイン内容が頻繁に変わる印刷物に向いている手法です。印刷方法を選ぶ際は、依頼する印刷物の内容・予算などを考慮して決めましょう。
オンデマンド印刷については、以下の記事で詳しく解説しています。
オンデマンド印刷
オフセット印刷の仕組み!工程と構造を紹介
オフセット印刷の仕組みに関連する内容は、下記の3点です。
- オフセット印刷の工程
- オフセット印刷の構造
- オフセット印刷機の種類
オフセット印刷の仕組みについて理解することは、印刷物を依頼する上で役立ちます。
オフセット印刷の工程
まずはオフセット印刷の工程を紹介します。主な工程は下記のとおりです。
オフセット印刷の工程
- 企画・デザイン:印刷物のデザインの概要を決定
- DTP制作:版下制作
- 製版:印刷用の版を作成し、色の校正を確認
- 印刷:製版をもとに印刷
- 加工:折り込みや断裁など必要な加工
- 納品:完成した印刷物を納品する
印刷工程を見ると、多く感じる方もいるのではないでしょうか。しかし、大きく分けると1〜3の「プリプレス(印刷前の段階)」、4の「プレス(印刷)」、5〜6の「ポストプレス(印刷後の加工から納品)」の3つです。
各工程を把握することで、依頼した印刷物の進行状況をより理解できるようになります。
オフセット印刷の構造
繰り返しになりますが、オフセット印刷はアルミ製の平らな版を使用する印刷方法です。オフセット印刷は湿し水とインキ(油)が反撥する性質を利用し、版にインキが付着する部分と付着しない部分に分け、印刷を行います。
具体的な構造としては、下記の内容です。
- 版胴という部分に版が配置される
- 版にインキと湿し水が供給される
- インキが塗られた版とブランケットというゴム製のローラーが転写される
- ブランケットから用紙へ印刷する
この構造によって、細やかで高品質な印刷を実現しています。
オフセット印刷機の種類
オフセット印刷機には「枚葉印刷機」と「輪転印刷機」の2つの種類があります。それぞれ異なる特徴があり、適切な印刷機を選択することで、印刷作業の効率化に有効です。
それぞれ特徴を下記の表にまとめました。
印刷機の種類 | 特徴 |
枚葉印刷機 | ・カットされた板紙に印刷する ・1枚ずつ印刷するため、紙のサイズや厚みが異なっても柔軟に印刷できる ・チラシや冊子等に適している |
輪転印刷機 | ・ロール紙(巻取紙)に連続して印刷する ・枚葉印刷機よりも生産性が高い ・新聞や雑誌、書籍など大量印刷でも短時間で印刷できる |
印刷する量や紙の種類、仕上がりの期日などを考慮して、最適な印刷機を選択することが重要です。
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オフセット印刷の3つのメリット
オフセット印刷のメリットは下記の3つです。
- 短時間でかつ大量の印刷ができる
- 精度の高い色合わせで高品質な仕上がりになる
- 大量印刷することでコストダウンになる
メリットを知ることで、より効果的に利用できます。
メリット1 短時間でかつ大量印刷ができる
オフセット印刷の大きな印刷機を利用することで、一度に大量印刷ができ、書籍や大量なチラシをスピーディーに印刷できます。またチラシとリーフレットなど異なる印刷物を一度にセットして、同じ用紙への印刷も可能です。
特に「輪転印刷機」を用いることで、ロール紙を連続して印刷ができ、さらに短時間での大量印刷ができます。オフセット印刷は印刷前に版を作成する工程がありますが、あらかじめ版を作成しておけば、追加の印刷がある場合すぐに対応できるのも利点です。
メリット2 精度の高い色合わせで高品質な仕上がりになる
オフセット印刷は、固着性の高い顔料油性インクを使用しているため、色鮮やかで細部まで鮮明な画像や文字の印刷が可能です。にじみの心配が少なく、品質の高さと安定した仕上がりでかつ高品質の印刷が実現できます。
精度の高い色合わせで印刷が可能なため、美術品のカタログや企業のパンフレットなど質の高さを求められる印刷物にもおすすめです。
メリット3 大量印刷することでコストダウンになる
オフセット印刷は版の作成に費用がかかりますが、大量印刷すると1枚あたりの価格を下げることが可能です。印刷する枚数が多くなればなるほど印刷コストはおさえられます。
一方で少量印刷の場合は、1枚あたりの印刷費用が割高になる傾向です。具体的な目安としては、1,000部以上を印刷するとコストダウンになるといえます。
ただし、この数値はあくまでも目安であり、実際の印刷コストは印刷物のサイズや用紙の種類によっても変動します。事前に印刷会社に相談してからの依頼が重要です。
オフセット印刷の3つのデメリット
オフセット印刷のデメリットは次の3つです。
- 可変印刷には向いていない
- 納期に時間がかかる
- CO2が排出されてしまう
デメリットを知ることで、最適な印刷方法を選択する際の判断材料になります。
デメリット1 可変印刷には向いていない
オフセット印刷は高い品質や大量印刷に優れているため、幅広い印刷物に対応できる方法です。しかし、すべての状況において最適というわけではありません。オフセット印刷は版を利用して印刷するため、可変印刷に対応しにくいというデメリットがあります。(別工程でしたら可能です)
例えば、異なる住所や名前を印刷する「年賀状」や個別の番号を割り振った「キャンペーンコード」が掲載されているチラシなど、一枚一枚異なる画像や文字などの印刷は不向きです。(オンデマンドでしたら可能です)
デメリット2 納期に時間がかかる
初めての依頼や新しいデザインの印刷を依頼する場合は、版を作成する時間が必要です。また、オフセット印刷ではインクを紙に転写した後、乾燥させる時間も要します。オフセット印刷を依頼する際は、時間を確保し計画的に進めることが重要です。
万が一、急ぎの案件や短納期での印刷が必要な場合は、オフセット印刷の工程や時間を考慮し、代わりの印刷方法を検討するか、早い納期を可能とする印刷会社を選ぶ必要があります。
デメリット3 CO2が排出されてしまう
オフセット印刷では、版の作成や印刷工程においてCO2が排出されてしまいます。
公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)の「デジタル印刷とオフセット枚葉印刷のCO2排出量の比較調査」によると、オフセット印刷で必要な刷版工程のCO2排出量が全体の4〜50%を占めていることがわかりました。
さらに、予備紙(損紙・ヤレ紙・ペケ紙)にインキが加わり、実際の使用紙数が増えることが、環境負荷になる恐れもあると説明されています。参考:デジタル印刷とオフセット枚葉印刷のCO2排出量の比較調査|公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)
ただし、オフセット印刷は小ロットの場合、刷版工程のCO2排出割合が大きくなりますが、ロットが増えるにつれてその割合は減少することが特徴です。そのため、ある一定のロット数を超えると、オフセット印刷のCO2排出量がデジタル印刷を下回る可能性があります。
また、オフセット印刷で使用されるUV(紫外線)乾燥装置は従来、消費電力の高い紫外線ランプを使用していましたが、最近では消費電力の少ないLED式のUV乾燥システムに置き換わり始めていることが現状です。このLED式UV乾燥システムの導入により、オフセット印刷における消費電力量とCO2排出量の削減が期待できます。
当社では、環境に配慮した「石灰石」「バイオマス粘着」「再生PET」といった素材も取り扱っています。環境にやさしい素材にご興味がある方は、下記の素材をご確認いただけますと幸いです。
オフセット印刷に適した印刷物と適さない印刷物
オフセット印刷は同じ品質の製品を大量に繰り返す印刷物や、用紙サイズが大きい印刷物、あるいは色の表現が重要な印刷物に適しています。
オフセット印刷に適した代表的な印刷物は次の内容です。
【オフセット印刷に適した印刷物】
- 書籍
- 雑誌
- カタログ
- ポスター
- チラシ
- パッケージング
- シール・ラベル
一方、オフセット印刷に適さない主な印刷物は下記の特徴があげられます。
【オフセット印刷に適しない印刷物】
- 可変要素が含まれる(別工程になれば可能です)
- 用紙サイズが小さい
- 少量の印刷
適さない要素がある印刷物は、ほかの印刷方法の検討や印刷会社への相談がおすすめです。
当社では、オフセット印刷を利用したラベル印刷を提供しています。オフセット印刷の制作事例を知りたい方は下記をクリックしてご覧ください。
オフセット印刷を依頼する際の2つの注意点
最後にオフセット印刷を依頼する際の注意点を紹介します。
【オフセット制作事例】
- 原稿の品質は最適なものか
- 誤字脱字やフォント・テキストは確認したか
注意点を知ることで、失敗のリスクを軽減できます。
注意点1 原稿の品質は最適なものか
オフセット印刷を依頼する際は、CMYKカラーモードを作成したデザインで依頼します。CMYKカラーモードとは、C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)・K(ブラック)の4色によって表現することです。
テレビやパソコンのディスプレーで使用するRGBカラーモード※で作成されたデザインで依頼してしまうと、CMYKに変更する際に色味が変わってしまいます。※RGBカラーモードは、光の3色Red(赤)、Green(緑)、Blue(青)の3つの光を混ぜ合わせて色を作り出すこと
デザインをCMYKカラーモードで作成するには、llustratorやPhotoshopのソフトウェアで作成する際に、CMYKモードの設定が大切です。しかし、当社なら入稿データに多少不備があってもサポートを行っていますのでお気軽にご相談ください。
印刷データをCMYKで作る方法について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
印刷データをCMYKで作る方法と理由。RGBとの色の違いも解説
注意点2 誤字脱字やフォント・テキストは確認したか
オフセット印刷を依頼する際は、誤字・脱字がないか、さらにフォントやテキストの確認も欠かせません。特に重要なのは、フォントやテキストをアウトライン化するかの確認です。アウトライン化とは、文字や図形の情報を変換処理することを指します。
アウトライン化しない場合、別のフォントに置き換えられてしまい、文字化けが生じる恐れがあります。入稿の際は、PDF形式で仕上がりイメージのデータも合わせて送り、印刷会社との間で、データの不一致がないかの確認が大切です。
データの入稿について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
小島ラベル印刷|データ入稿ガイド
大量印刷や美しい仕上がりを求めるならオフセット印刷がおすすめ
オフセット印刷は「版」を使用する印刷方法で、大量印刷ができ鮮度の高い色合わせで高品質な仕上がりになります。大サイズの用紙にも柔軟に対応しており、ポスターや特大チラシなど、さまざまなサイズの印刷物の制作が可能です。
オフセット印刷は同じ品質の製品を大量に繰り返す印刷物や、用紙サイズが大きい印刷物、あるいは色の表現が重要な印刷物に適していますが、可変要素が含まれる印刷や少量印刷には適していません。
オフセット印刷の特性を活かした高品質な印刷物の制作をご検討の方は、下記からお気軽にお問い合わせください。豊富な経験があるプロが、目的に合わせたオフセット印刷を提供いたします。
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